台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
ばかだな、もっとしれっとしたフリしときなさいよ。
非情な定点カメラは止まらない。
ひよりの唇が震えて、決壊するのも時間の問題。
――ほんと、しょうがない子。
ふっと息を吐いて、彩加の手から紙袋を奪い取った。
「あーっ!これ、瑠奈のだぁっ」
張り詰めた空気に風穴を開ける、あっまあまのお砂糖ボイス。
その場にいたみんながぽかんとして、ひよりも驚いて顔を上げた。
「お風呂のあとぉ、急いでたからやっちゃったんだね〜。
失敗失敗⭐︎」
紙袋を抱えながら、人差し指を口元に当ててひとり明るく喋り続ける。
くるんと軽やかに振り返って、陸に向かって小悪魔っぽく微笑みかけた。
「拾ってくれてありがとー」
言いながら、陸の元へと歩いていく。
ゆでダコ状態の陸は、たじたじになって固まっている。
あっという間に隣まで来ると、じいっと陸の顔を見つめる。
ちょっとだけ背伸びをして、真っ赤な耳元に手のひらと唇を寄せて囁いた。