台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「――し、」


ぎこちなく開いた唇が、時間をかけて声を乗せる。
その勢いで、きゅるっと上目遣いをして眉を顰めた。


「紫苑くんのばかっ!
瑠奈だって清楚なの着けるもんっ」


ぽか――――ん。


紫苑の顔がまさにそんな感じになる。


(よしっ今だ!)


急いでポーチをまとめて、ヘアアイロンも抱えて紫苑と洗面台の間から抜け出す。


――コン、とリップがメイクポーチの隙間から、滑り落ちたことには気付かない。


ぷんっと怒ったふりをして、パタパタと脱衣所から走って逃げ出した。


わかる!わかるよ、私だってぽかんだよ!

なんだってこんなことに!?


暗い廊下やリビングを抜けて、一目散に女子フロアの階段を駆け上がる。


「瑠奈ちゃん……!?どうしたんですか?
ボロボロですよ!?」

「いや、別にぃ……なにもないよっ?」


部屋に入ると、目を丸くしたひよりが心配そうに駆け寄ってくる。

肩で呼吸を整えながら、とりあえずの笑顔を作った。



――明日から、恋リア生活2週目が始まる。
すでに波乱の予感がした。

< 131 / 186 >

この作品をシェア

pagetop