台本通りの恋はしない!
「わぷっ……ちょっと潮さん、いきなり止まらないでくださいよぅ……」
赤髪の男のリュックから、マシュマロみたいにおっとりとした女の子の声がした。
驚いて目を見張っていると、彼の後ろから、小柄な女の子がひょこっと顔を覗かせた。
栗色のゆるふわロングヘア。多分天然パ?
丸い輪郭にくりくりの目。小さい唇。
ちょっと幼い遠寺のリボンと紺のジャンパースカートが似合ってる、マスコットキャラクターみたいな女の子だ。
「すんません!中に誰かいたのにビビっちゃって」
「えぇ?もう誰か来てるんですか?
まだかなり早いのに――って、あっ!」
その子が私を見つけた瞬間、嬉しそうに目を輝かせる。
ととと、と子どもみたいに駆け寄ってきた。
「わぁ、嬉しい。女の子がいましたっ
私、春野 ひよりって言います!15歳です!
あっちは、潮 陸さん。
さっき駐車場で会ったんですっ」
……守ってあげたい小動物系女子だっ!
157センチの私でさえ見下ろせるサイズ感の、ひよりに衝撃が走る。
――いや、大丈夫。
キャラ被りしてるわけじゃない。
というか、シナリオあんのにキャラが被るわけがない。
心の中で深呼吸。
戦いはもう、始まってる。