台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「あのね、爽真くん。
私たち、もっと仲良くしようよ。元々顔見知りなんだし。
……これからのシナリオに向かうためにも、ね?」
「シナリオは守る。けど、そのために仲良くとかはわからない」
「私がそうしたいの!」
食い気味に言葉を被せた美玲が、爽真の側に駆け寄る。
陽光を反射する、爽真の真っ白なワイシャツの袖を掴んで、美玲は赤らむ顔を隠すように俯いた。
「私ね、このお仕事もらった時嬉しかったの。
爽真くんが、私を想ってくれるシナリオだって聞いたから」
見下ろした美玲の頭は、小さく震えている。
相当勇気を振り絞っているのがわかった。
「事務所でたまにすれ違うくらいだったけど――
その、ずっと見てたから……」
ギュッと爽真の袖を握る美玲の手に力がこもる。
その感触と、俯く仕草が、
いつかの夜の、瑠奈と重なった。
瞬間、爽真は腕を上げてさりげなく美玲の手を外させる。
自分を見上げる美玲の表情はあまりに弱々しくて、
違う、と思ってしまった。