台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―



「爽真くん!待って……!」

振り返りもせず手当たり次第に早足で、迷路の中を突き進んでいく爽真を、美玲が小走りで追いかける。

カメラマンは振り切られた。

爽真の背中に、美玲の声は届かない。

「がむしゃらに進んだって、瑠奈ちゃんには会えないよ!」

一か八かで言った、“瑠奈”の音に反応して爽真の足がようやく止まる。

それを見た美玲の表情が、ぴたりと止まって――
ショックを受けているかのように、影を落とした。

「爽真くんは、瑠奈ちゃんのことが気になってるの……?」

「……」

爽真は何も答えない。美玲が悲しそうに小さく笑った。

「言えないか。たとえば好きだったとして、実ることなんてないもんね」


“だって、ストーリーがあるから”


美玲の言葉には、そんな言葉が続く気がする。

黙りこくる爽真の視線が地面に落ちる。
美玲は何かを迷うように、スカートの裾を軽く握る。

並ぶ向日葵から伸びる影が、2人の足元を飲み込んだ。
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