台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……瑠奈ちゃん。
くっつきすぎだし、そろそろ離そっか」
紫苑は、私の手の上に自分の手を重ねる。
押し返すモーションをしながら、さりげなく手をぎゅっと握ってきた。
「……!」
紫苑にくっつく私の手元の固定カメラみたいになっていた爽真の目が、僅かに細くなった気がする。
ざわっと冷たいオーラを噴き出し始めた。
「……海の家で、浮き輪借りられるみたいだよ。
行ってみようよ」
優しく微笑む美玲が、爽真の指先を掴む。
爽真をちょっと強引に輪の中に導く、そんな構図の割に、結構しっかり握っている。
(……私たちは今、全員ヤラセの演技をしてる……んだよね?)
「あっ瑠奈、浮き輪ほしーいっ
行こっ紫苑くん♡レッツゴー♪」
混沌とした空気をかき混ぜるように、足取り軽く走り出す。
キラキラと光る海を背景に、砂浜をきゃっきゃと歩く4人の高校生。
これ以上ない青春のワンシーン。
なのにどうして。
こうも空気圧が強いんだろうか……。