台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

チラッとカメラの奥に意識を向けて、スタッフやディレクターの反応を確認する。


(……よし。爽真を空気扱いで紫苑だけ構ってても、
“違う”って顔はされない。)


最終的に“瑠奈”は紫苑を選ぶんだから、このムーブはストーリーと矛盾しない。

このままさりげなく他の男子との接触を減らして、紫苑との絡みを増やせば。

一途な悪女のできあがりだ。


私の切り返しに、紫苑の口元が微かに緩む。

なのにカメラに向けて作った顔は、ちょっと困っている苦笑いだった。


「あ――……と。じゃあ、みんなで遊ぶ?」

しがみつかれた重みで肩を下げた紫苑が、人当たりのいい笑顔を浮かべる。

それが女の嫉妬に火をつける、誰にでも優しい王子様。

――正解。


「……あっ。えと、それなら爽真くんも一緒に行こうよ」

複雑そうにしながらも、断れない気弱な聖女。
でも、孤立しそうな人にはちゃんと手を差し伸べる。

――正解。

「……いいけど」

気怠そうにしながら、ヒロインの一声には素直に従うクール男子。

――正解。

「じゃあきまりねっ♡行こ、紫苑くん♡」

そして私は、ヒーローしか見えてない、自己チューな悪女。


カメラの前で、きっとみんな正しいムーブをしている。

それなのに。

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