台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「じゃ、爽真くん。このまま浮き輪取りに行こ♡」

いつのまにか1・2メートル沖に流されているブルーの浮き輪を元気に指差す。

「カナヅチ連れて行けるか。瑠奈を浜に置いてくるのが先」

「あ、ひどーい。でも意義なし」

爽真が波に逆らって、浜の方に歩き出す。

水の抵抗でちょっとだけ上半身が不安定になる。


もしカメラに映り込んでたら、節操ない悪女って言われるかもだけど――

今だけは仕方ないことにしよう。


爽真の首元に、ギュッと抱きついて体を支えた。


「っ、なに」

爽真がジト、と横目に私を見る。
頬が赤い気がするのは日差しのせいか。

「べつに?流されそうになったから掴まってるだけ」

聞かれると、なんかちょっと恥ずかしい。
だから、そっぽ向いて照れを誤魔化す。


「絶対それ、他でやるなよ」
「やらないよ、こんなダサいことっ」


どちらのともわからないトクトクと鳴る胸の音は、大きな波の音に紛れる。


「瑠奈ちゃん!溺れかけたって!?大丈夫!?」


その時、砂浜から血相を変えてスタッフたちが走って来た。

美玲のところに辿り着いた紫苑が知らせたのか。


うわ――、恥ずかしい。
浅いところで溺れるやつって、アホなイメージついちゃうじゃん。

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