台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……泳げないなら言っとけよ」
ため息混じりの言葉と一緒に、優しい手がポン、と私の後頭部を撫でる。
それからすぐに爽真の腕が私の腰に回って、軽々と私を抱き上げる。
波打つたびに顎あたりを撫でる海水から守るように、自分より私の背が高くなるようにしてくれた。
「やだ。そんなことダサくて言えない」
「浅い場所で溺れかける方がダサいだろ」
「そんなバカなことが起こるなんて思わないじゃん」
逆光に眩しそうにする爽真を、ほんの少し上から見下ろす。
安堵と心配が滲む、よく知った不機嫌そうな顔。
それで安心して、恐怖心が一気に解ける。
強い日差しを吸い込んだ海の雫が、濡れて尖った毛先を伝って爽真の頬にぽたりぽたりと落ちていく。
遠くで美玲たちを映すカメラには、完全に背中向き。
だから、遠慮なく素で悪戯っぽく笑った。