台本通りの恋はしない!
(この世界は不平等だ。
どんなに頑張ったって、悪役が報われることはない)
怒りとか悔しさとか絶望とか、
ぐちゃぐちゃに絡まっていた感情が、
お腹の中で渦を巻く。
そして、ある瞬間――ぷつりと切れた。
「っは、」
……なんかもう、
笑えてきた。
「皆さん集まったので、15分後、撮影開始します!」
そう号令したスタッフの声がざわつく室内に抜ける。
嘘で塗り固められたリア恋が、もうすぐ幕を開けるらしい。
(どうせ嫌われ者になって女優人生絶たれるなら、ド派手に爪痕残して死んでやる)
お望み通り、演ってやるわ。
完璧な悪役を。
――この時の私はまだ、
台本通りの世界の中で、強く生きることしか考えてなかった。
恋にキラめく世界で、私だけ泥臭く暴れ回ってやる。
台本なんてクソ喰らえ!