台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「ああやってされるのもよかったけど、」
紫苑も、意地悪く細めた目で爽真のことを見る。
「俺としては、もうちょっと手を繋いでいたかったかな」
「……っ、」
咄嗟に、爽真が私の腕を引く。
態勢を崩されて手からスマホが滑り落ちる。
ガシャン、と床で跳ねる音だけが、やけに大きく響いた。
「……爽真、くん……?」
驚いて爽真のことを見上げる。
その表情は、いつか私を叩いた掲示板を見せた時と同じくらい、険しく歪んでいた。
紫苑は不自然なくらい冷静な微笑みを保ったまま、爽真のことを見続けている。
爽真の目が、ふっと下を見る。
ぽかんとしている私の顔を捉えて、キツく細くなった視線が揺れて迷いを浮かべた。
「……お前は、白石だろ」