台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

悩んで悩んで、やっと抵抗したかのような声色。

落ちたスマホは再生を続けて、爽真と紫苑が美玲を取り合うドラマチックな三角関係を映している。


「それは爽真も、でしょ?」


静かで揺らがない、紫苑の声。
そのカードはお前にも刃を突き立てるって、わかっているかのような。


「……」


案の定、爽真は何も言えなくなる。


でも何か言いたそうにして、でも言わなくて。
それからそっと、私が落としたスマホを拾い上げた。


「……悪い」
「……ううん、大丈夫だよっ?」


俯いて暗い表情に、“瑠奈”の演技が崩れそうになる。

海のシーンは進んでいて、コメントも滝のように流れている。


>>るな、むくれ顔やばw
>>でもやっぱ、しおんにだけ夢中さが違うよね
>>完全にメロついてるもん。そりゃ美玲が邪魔になるわ


(あ。作戦。成功してる)


――なんて思うのに、あんまり気は晴れなくて。


紫苑の完全勝利。
そんな空気のまま、アオバケ鑑賞会は終わった。
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