台本通りの恋はしない!

真っ暗なリビングに降り立つと、スマホのライトをつけて室内を見て回ることにした。


――固定カメラのタリーランプは消えてる。
やっぱり消灯以降、カメラは止まるんだ。

窓、玄関は当然施錠されてるけど、多分防犯のため。
こっちが抜け出そうと思えばできなくはなさそう。

外に見回りがいるのか気になるところだけど――
今日確認するのはやめとこう。

さすがに言い訳が立たない。


――タン、タン

(……誰か来る!)


男子フロアの階段から、誰かが降りてくる音がする。

慌ててキッチンに滑り込んで、わざわざ音を立てて冷蔵庫を開けた。


ドキドキと心臓が強く脈を打つ。

それを押し殺して、水を探してるフリをして降りてきた人の反応を待つ。


「……誰?」


背後に、寝起きっぽい掠れた低い声。

振り返ると、アイランドキッチンを挟んだ向こう側に爽真がいた。


「ひゃっ……びっくりしたぁ」

大袈裟に肩を強張らせて、声を上げそうになったのを抑えたフリをする。

爽真の反応は返ってこない。

彼にも少しだけ届く冷蔵庫の光が、その姿をぼんやりと浮かび上がらせてるから、幽霊のように見えた。
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