台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「何アイツ!愛想わるっ」
彩加が美玲の方に手を置いて、男子フロアへの階段を睨む。
「まぁまぁ。暑くてボーッとしてるだけかもだし」
そんな彩加を宥めながら、大和は「お土産見せるんでしょ?」と話題を逸らす。
「ああ、そうだった!いっぱい買ってきたからねっ」
「わぁ、楽しみです〜」
走ってきた彩加が、ドサリと大きな紙袋をダイニングテーブルに置く。
それから間をおかずに、お菓子やらマグネットやら、長期旅行に行ってきた並のお土産を広げ出した。
「どんだけ買ってきたんスか」
「ね。デート中もこれは誰々が喜びそうって話ばっかりなんだよ」
「彩加ちゃんらしいですねっ」
「……そうなんだよ。だから何も言えなくてさぁ……」
盛り上がる会話の輪に属しながら、私と紫苑はそろりと視線を交わらせる。
その直前に見たのは、まだドア付近にいる美玲。
彼女はちょっと切なそうなのをため息でいなして、真っ直ぐ純な表情を保っている。
「私も、手洗いして着替えてくるね」
そう言って、小走りで女子フロアに消えていった。
“やっぱ同じこと思うよね”
“うん”
短いアイコンタクトで、そう通じ合った気がする。
懸念に対する答えは、今のでほぼ出た気がするけど。
それを確定させるために、一刻も早く配信アーカイブを見なくちゃ。