台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

急な問いかけに、思わず紫苑の方を向く。
紫苑はクスリと息を漏らして、話を続けた。


「【みれい→そうまのフラグを探すスレ】。
美玲ちゃんの鞍替えを受け入れ始めた視聴者が、勝手に宝探しをしだしてるってわけ」


うっかり、横を向いているのに表情が途切れる。
紫苑がそれを正すように、トントンと自分の口元を指で叩いた。

「それは、知らなかった」

合図で気づいて、笑顔を作る。
楽しそうにお喋りしてる、そういう雰囲気を崩しちゃいけない。

「やっぱり?俺も見つけたの今朝だからさ。
すごいよ、一話から遡って些細な目線の動きまで追われてる。
美玲ちゃんに聞かないと真の正解はわからないけど、そこまで?ってことまでこじつけられてる」


良い流れなのに、笑顔の裏の心は不穏。

美玲の言動だけならいい。

けど、視聴者が目を皿にして探すその画面には――
もちろん他のキャストも映っているわけで。


「……大丈夫かな」

「ね。結構緊張するよね」


私たちの演技の真価を、次は視聴者に問われている。


「特に俺たちは、美玲ちゃんのストーリーに大きく関わっているから――
ちょっとの綻びも、大事件みたいに扱われるだろうね」


つうっとこめかみに汗が流れた感覚がする。
改めてハッキリ言語化されると、余計に心配になってくる。

もう世に出してしまった映像は、取り消せない。

そして、“わかりやすく提示された恋を楽しむ”から、
“水面下で動いていた恋の欠片を探す”と視点を変えた視聴者が、それらをどう解釈しなおすかわからない。


都合のいい部分だけ、可視化すればいい。

けど、思わぬ方向に転がってしまった時――
私はどう立ち回ればいいんだろう?
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