台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「あ、……あー。そっか。
でも瑠奈、何もしなくてもモテちゃうからなぁ〜」

変な空気になった気がして、咄嗟に“瑠奈”語が出てこない。
焦った頭のまま“瑠奈”を引っ張り出したら突飛なことを言ってしまって、爽真の眼圧が一気に強まった。

「で……っでもでもっ!とりあえず!ちょっとは気をつけるねっ♡」

本能的に何かがまずいと察知して、商品を持ってさっさとホール業務に逃げる。

会話の内容なんて知る由もない私たちを知るお客さんたちは、「やっぱるなとそうまって仲悪いんだ」なんて、潜めきれていない噂話をしている。


「お待たせしましたぁ♡焼きそばと、イカ焼きです♡」

接客に徹しながら、理想的な方向に傾いてるじゃんって脳内で頷く。
けれどなんとなく、心は釈然としなかった。

――……

「しおんくんとみれいちゃんですよねっ!?」

入り口で新規で入ってきたお客さんに案内をしていると、店先から興奮で上擦った女の子の声が聞こえてきた。

「はい……」
「そうです」

ちら、とさりげなく店先で並んでかき氷を売る2人の様子を窺おうとする。
姿はちゃんと見えないから、会話だけを拾った。

「私、2人の恋を応援してて……!いつも頑張れって思いながら観てます!」

はしゃいだ声に、少しの間。
なんとなく、2人がお互いを窺いあっているように感じる間だった。

「あ、……ありがとうございます」

ちょっとだけ気まずそうな美玲の声。

「楽しんで観ててくださって嬉しいです。今日の企画もチラ見せ配信があるので、よかったら観てくださいね」


(――さすが。いい感じにカバーしたな)


爽やかで曇りのない紫苑の声と言葉に、思わず舌を巻く。


王道ペア、破綻寸前だと言うのにやっぱり強い。
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