台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「俺にはそれを取り返すチャンスが巡ってきたけど……
このまま行くと、爽真はそうもいかないんじゃない?」
――美玲と成立してしまったら、次のアオバケへのリトライの可能性は消える。
暗に、そういうことを言っている。
「……」
爽真の視線が、空になった鉄板に落ちる。
目に見えてわかる、葛藤。
それ以上はもう、と大和は微笑みを保ったまま、また次の注文に取り掛かろうとする。
遠くの卓で何かを話していた瑠奈が、くるりと振り返って走ってくる。
昨日繋いだ華奢な手を、バンと提供カウンターに乗せてどこか必死な顔をしている。
「5番さんがさっき注文した焼きトウモロコシまだですかって!
至急用意してくださーいっ」
ム、とむくれるのは演技の顔。
けれど、忙しさのせいかほんの少し気が立っているのは、多分本当の瑠奈。
「うわ、ごめん今――」
「すぐ作る」
大和の言葉を遮って淡白にそう答えると、爽真は止めていた手を即座に動かし始める。
「お願いしますよっ!?なんならあの人たち爽真くんたちにメロついてるから、どっちかが謝って届けてよねっ」
言い終わってすぐに別のお客さんに呼び出されて、瑠奈はキリキリしながら走り去る。
返事はしないくせに、動きだけは急にしっかりし始めた爽真に、大和はまた苦笑した。
「いつかの朝から少し感じてたけど――
爽真ってさ、結構わかりやすいんだね」
「……何が」
「いや……俺はそのギャップ、いいと思うよ」