台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「でも俺も、性格まで縛られたシナリオを課せられた経験あるからわかるけど、相当キツイんだよね。
なんというか、孤独?感情の逃げ場がないとやっていけないっていうか」
言いながら、今度はそろりと爽真を見る。
“その場所がどこにあったのか”の予想を、暗に向けているかのように。
「……」
爽真は何も答えない。
物憂げな目に宿るのは、期待と、自制と、落胆。
今暗い顔をしかけた瑠奈が意識を向ける先には、紫苑がいることを知っているから。
大和はそんな爽真の様子をじっと見ている。
それから、少し肩の力を抜くような笑みを漏らした。
「俺がシナリオ持ちだってこと、驚かないんだね。
ここでは瑠奈にしか暴露してないのに」
爽真がまた面食らった顔をする。
今度は自分の失態に対する動揺だ。
珍しすぎるほどわかりやすい爽真の態度に、大和は本格的に肩を揺らし始める。
完成したソース焼きそばをプラスチック容器に移しながらひとしきり笑った後――
息を吐いて出たのは苦笑だった。
「爽真はいいの?このままで」
鉄板に僅かに残った野菜クズを集めて、大和が聞いた。
「仕事だし、ちゃんと台本を守るべきだとは思うけど――
なにもしないのって、後々すごく後悔するよ」
ヘラを置いて、容器の蓋を閉める。
伝票札と一緒に、それを提供カウンターに置いた。