台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
疲れと眠気で霞む目を、光度の高い画面から離して遠くを見る。
シパシパと瞬きをしながら、安堵の息を吐く。
(――よかった。ここまでに、綻びはないみたい)
でもまだ、書き込みのナンバーは200あたり。
あと数ページあるこのスレッドを、全部遡るまでは安心できない。
画面をさらにスクロールさせて、ザッと3話前編のフラグ探しを読み切る。
次は、2話後編についての考察だ。
>>やっぱさ、きっかけは花火大会じゃない?
>>わかる!そうまが綺麗だって言った53:24あたり!
これ、確実にみれいの心動いてる!
(やっぱりそこが、1番のターニングポイントだよね)
爽真の遠回しの告白みたいな名シーン。
ここで爽真×美玲の良さに気づく層が生まれた。
下にスクロールしても、同意する意見ばかり。
その中でひとつ、角度の違う書き込みに手が止まった。
>>ここはそうまの方が印象的。
普段どんなシチュでも何考えてるかわからないのに、
この言葉だけ何故かめちゃくちゃ感情的だよね
(……言われてみれば、確かにそうだ)
盲点。全然気にしてなかった。
だって私の知る、カメラの外にいる爽真は――
笑うし、怒るし、傷つくし、照れたりもする。
わかりにくいだけで、いろんな感情を見せていたから。
>>花火でテンション上がっただけでしょ。
>>やだ、なにそれかわいい
他のスレッドの住民は、この違和感を大して気にも留めない。
けれど私の心の引っ掛かりは膨らむばかりだった。
――カメラの前の爽真は、いつも淡白でつまらなそう。
それは、美玲の前でも。
デートしてたって、一緒に勉強してたって、常に冷静。
だから、あの瞬間の爽真が異質に見える。
美玲の前でも淡白なのは、“クールな爽真”を演じようとし過ぎて、動じないフリをしてるのだと解釈してたけど――……
それならどうして、花火の時だけ漏れ出ちゃったんだろう?