台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


花火大会の日の、爽真のことを思い返す。

すれ違いざまに目が合ってしまったこと。
触れられた指先。

その日の深夜、不恰好に寄り添い合ったこと。


『美玲と仲良く並んで歩いてたじゃん!』
『仲良く?どこが?お前の目は節穴か』


あの時は自分の感情もわからずただ苛立ちをぶつけて、爽真に真っ向から反発した。


『爽真も恋すると、あんな顔になるんだね』

美玲に“綺麗だ”と言う映像を初めて見た時は――
紫苑の言葉を否定しないその姿を見て、爽真は美玲を好きなんだと思った。


でも今は?今見たら、どう思うんだろう?


手が勝手にスレッドを閉じて、アオバケの配信ページを探し出す。

2話後編。クライマックス。
美玲に向けられたはずの、演技が下手な爽真の感情を確かめに行った。

小さな画面には、美玲に向かう爽真の横顔。
「綺麗だね」と美玲が言った直後の爽真は、まだ感情の薄い無表情。


(これが演技なんだとしたら、やっぱり下手。
ここは美玲の笑顔に少しハッとした方が、後の感情へ綺麗に繋がるのに)


なんて、冷静に分析できる余裕がある分見え方は前と少し違う。

画面の中の無機質な沈黙の後で、急に爽真が何かを思い出したように苦笑する。
観念したみたいな、ちょっと切なそうな表情で。

『――ん、綺麗だ』


――瞬間、胸がドクンと鳴る。

視線の宛先は違う。
でも、私はあの表情を知っている。
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