台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

とはいえいつまでもカウンターに張り付いているわけにもいかないから、トレイに商品を乗せていく。

これは12卓の注文。
ちゃんと確認してトレイを持ち上げようとした時、隣に誰かが立った。

磯と濃い調味料の匂いにふわりと混ざる、少し湿った清涼感のある香り。

ふっと横を見れば、思った通りに爽真がいた。


「それ、俺がやるから。
新規客の案内して」


言うが早いか、ひょいと私が持とうとしていたトレイを奪う。
それから少し不満そうに私の顔をじっと見て、“何言っても聞かないんだよな”って顔で踵を返していった。


(表情で文句言わないでよね!)


なんて思いながら、胸は勝手に騒ぎ出す。
昨日、爽真の感情の欠片を拾い集めてしまったせいで、これもそうだと思いそうになっている。

「ええー!?るな様じゃないの!?」

私が提供に行こうとした12卓の方から、男の人の残念そうな大声が聞こえてくる。


(……いやいや、偶然。さすがにそれは偶然……!)


体だけでなく心の調子も狂いそうで、急いで新規客の案内に走った。
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