台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「なんでそんなことしたの?」
続きを話せと爽真の手が私の右手を揺すってくる。
既に瀕死状態な気持ちで眉を垂らして、口ごもりながら話を続ける。
「……爽真との深夜0時を壊されたくなかったから、です……」
ピタリと止まる爽真の表情。
ぽかんとするみたいに目が丸くなっていた。
「…………。それは……いや、アホだろ」
怒ってるのか呆れてるのか、爽真自身も反応に迷っているような顔をしている。
空いた手を額に当てて、苦悶しているようだった。
「……だからあの辺りから紫苑ばっか見るようになった?」
「そのとーり……」
「俺を見なくなった理由が、俺のせいで演技が崩れるからって言ってたのは?」
「それもそれで本当」
「あー……うん」
「……?」
爽真が遠くを見出した。
かと思えばきょとんと首を傾げた私に、憎らしげな視線を送ってくる。
情緒不安定。こんな爽真も珍しい。
「あれは?」
「あれ?」
「映画」
「それは……ホント、偶然。見る映画も時間も被って……
マイナー映画の奇跡っていうか」
「それはそれでムカつく」
ム、と拗ねた不機嫌顔。
たじたじになるんだけど、ドキッともして私の情緒もおかしくなっているみたいだ。
「つい隠しちゃったのは……なんか気まずかったからで……
そしたら爽真、次の日に美玲と何かあって、来なくなっちゃうし」