台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「すげぇ怖かったんですけど!
なんで爽真さんあんなに怒ってんスか!?」
「や、それを言うなら紫苑くんも……。
今までとのギャップありすぎじゃない!?」
爽真が消えた先、男子フロアの階段の方を見ながら彩加も困惑した顔をする。
「美玲さんは、全部知ってたんスか!?」
陸が勢いよく美玲の方を向く。
美玲は力なく背もたれに背を預けて、口元だけに笑みを浮かべる。
「……ううん。私も、ほとんどなにも……。
自分の見える範囲のものしか見ようとしてなかったんだなって、ちょっと情けなく思ってる……」
そこには、爽真への感情ももちろんある。
けど今においてはそれ以上に――
1番近い共演者のはずだった紫苑に少しも頼られていなかったことに対する、やるせなさを抱いている。
「……俺たちの知らない時間が、きっとどこかにあったんだよね」
大和が階段の方に視線を投げて、緩く微笑む。
大量のティッシュで顔を覆ったひよりが、ゆっくりと顔を上げた。
「……知りたいです、私……っ。
本当の瑠奈ちゃんがどこにいて、何をしようとしているのか」
ズズッと鼻を啜ったひよりの背中を、陸が狼狽して摩る。
空席が3つになったダイニングテーブルを囲んで、5人は静かに頷いた。