台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

――9:00。
大和・陸の部屋にて。

静かにドアを閉め切ると、ドア板についた背がズルズルと落ちていく。

「瑠奈……」

なんで、どうして。
気を抜くとそんな無意味な思考ばかりを繰り返して、気がおかしくなりそうになる。

『3日後。撮影が全部終わったら、言わせてほしい』
『うん、わかった……』

そうやって返事をしたくせに。
その数時間後に消えるなんてこと、あるかよ。


ほんの少し前、深夜0時の瑠奈のことを思い出す。


一昨日“全部話す”と言った通り、瑠奈は多分今までの隠し事の全部を俺に話してくれた。

(そこは疑いたくない。その時の瑠奈は確かに、嘘をついていなかった)


――じゃあ、いつ?


いつ瑠奈は、いなくなると決めた?

立てた膝に肘をかけて、項垂れた額を支える。


思い出せ、思い出せ。
どこかに違和感が――……

はた、と巻き戻し続けた記憶が止まる。

“わかった”

そう言った時、瑠奈は俺の手を握り返してこなかった。

自分に余裕がなさすぎた。
その時におかしいと気づくべきだった。

やけに潮らしい態度も、別れ際に突然抱きついてきたことも。
思い返せば、全部がおかしかった。

(瑠奈はもう、あの時点でいなくなることを決めていた?じゃあなんで3日後の約束を、了承してくれたんだ?)

乱雑に髪を掻き乱す。
痛みのノイズが、正常な思考の邪魔をする。

キツく目を瞑って、噛み締めた歯の隙間から深く息を吐きだした。
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