台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「皆さんが思うようなヤラセは、番組には存在しません。
ですが――私個人は、“ヤラセ”に似たことをしていました」


>>えっ……
>>どういうこと???
>>ていうかこれ、本当にるな?

画面の中の瑠奈が、少し俯く。
風が吹いて顔にかかる髪を手でそっと避けて、さらに話を続けた。

「……私には、女優になるという夢があって、」

さっきとは違う、少し自信なさげな頼りない声。

「でも、実力じゃなかなかその夢に届かないから……
まずは香月瑠奈を認知してもらおう。そう思って出演を決めたのが、このアオバケでした」


恋をするため、ではなく、売名のため。
アオバケに出ることにしたきっかけは、本当にそうだった。

「キャスト仲間に魅力的な人がたくさんいる中で、どうやったら爪痕を残せるか。考えて考えて、私が出した答えは、強烈なキャラ作りと1番競争率が高そうな人に恋をするフリをすること。
……つまり紫苑くんへの恋は、全部演技だったんです」

>>はっ……!?
>>エグ……
>>るなのこと見直してたのに
>>完全に騙された

衝撃の告白に、コメント欄の温度が一気に下がる。
並ぶのは、瑠奈への失望の声と批判。

それらも受ける前から察しているのか、まるで受け止めているかのように瑠奈がキュッと口を結んだ。

「最低だって、今ならわかります。でも、当初の私はわからなかったから、演じました。
……そしたらそれがキャストと皆さんにとって本当の私になったから、続けました。


“自分からそうした”は、嘘。
“台本通りにやらざるを得なかった”が、本当。


「それを裏で、すぐに見抜いたのが――爽真くんでした」

カメラの外で、瑠奈はキュッとスカートの裾を握りしめている。


>>そうま!?ここで?
>>これで伏線回収か……
>>つまり裏で繋がってデキてたってこと?


嘘と本当を交えた説明に、視聴者の動揺が広がる。


「爽真くんは、怒ってきました。
白々しい演技はやめろ、痛いんだよって。
あんまり辛辣だから、私も怒って言い返して、普通に喧嘩になりました」

>>www笑う
>>やめろ、シリアスな場面だぞ
>>いや、笑わせにきてるだろこれ

「その後も皆さん知っての通り、爽真くんは私に冷たくて。
視線だなんだってネットで盛り上がってましたけど、私に対してずっと厳しかったんですよ、彼。
あれは間違いなく嫌悪の目です」

堂々と言ってのける瑠奈に、コメント欄が揺らぎ始める。

>>確かに……見てたっていっても、常に仏頂面か無表情。
>>ガラスの写り込みもめっちゃ渋い顔だったよね。
>>誰だよ、照れ顔とか言った奴。
>>嫌いなものほど目に付くってやつ?それで説明つくわ。


>>でもさ、なんでるなは急に売名目的だったって暴露してんの?
るなは疑われてはなかったし、黙ってればよかったじゃん

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