台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

――次に顔を上げた時、彼女の目にはまた覚悟の色が浮かんでいる。
前に組んだ手を強く握って、できる限り背筋を正していた。


「嘘をついて、皆さんに見えないところで恋をしてしまった私には、この場にいる資格はありません。
だから私は――……、今日でアオバケを、リタイアします」


>>え
>>マ?
>>えええええ


「後3日なのにリタイアって、意味不明だけど――ご理解ください。
もちろん批判は受け付けます」

視聴者の衝撃を置き去りにするように急に瑠奈の口調が軽くなって、もう一度勢いよく頭を下げる。


「あ、それから……他の人の恋は本物です。
みんなびっくりするほど素直でいい人ばっかりで……そんな人たちまで悪く言われるの、許せなかったんですよね」

>>いやお前のせい
>>急にふてぶてしい
>>やっぱるなの片鱗ない??
>>元の性格悪くなきゃ、あの演技はできないだろ

ふっと肩の力を抜くようにため息をついた瑠奈が、揃えていた足を崩して内股に変える。
ゆったりと後ろ手を組んで、気丈に笑って見せた。

「ちなみに批判は番組ではなく、フジイ芸能事務所まで!
概要欄には載せられないって言われちゃったので、お手数ですが連絡先は検索をお願いします」

>>軽www
>>さっきまでの空気なんだったん??
>>とりあえず、るなの悪事にそうまがキレてたのだけはわかった

再生バーが、残すところ数秒に差し掛かる。


瑠奈は笑顔を保ったまま、改めて真っ直ぐカメラの向こうにいるであろう視聴者と目を合わせた。


「――以上!ご視聴ありがとうございました。
ごめんなさい。……さようなら」


――00:00


画面がふっと暗くなって、そこで配信は終わった。
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