台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「だから俺はアイツがしたことに腹が立ってるし、簡単に許せない。
ただ、瑠奈が自分と引き換えに守ったものを壊したくはないから――最終日。違和感なく終えて、番組を完成させたい」
自分を見上げる一人一人と、爽真はしっかり目を合わせる。
頑なに目を合わせようとしなかった紫苑も、不満気に視線だけを寄越した。
「まずは朝の撮影から――普通に、それらしく、……頼む」
下がる頭に、みんなが狼狽え出す。
紫苑だけが腕を組んで、ハッと短い息を吐いた。
「爽真に言われなくても、元からそのつもりなんだけど。
番組の完成を望んでるのは、香月さんだけなんて思うなよ」
ぶっきらぼうな言葉に、隣の美玲も深く頷く。
天邪鬼にぶつかる紫苑の視線は、なんとなく背中を押しているように感じられた。
「そうっスよ!一世一代の告白、瑠奈のせいで気が逸れるなんて冗談じゃないっス!」
「いよっ陸!よく言ったっ!」
「彩加……自分も当事者なのわかってる、よね……?」
陸、彩加、大和の掛け合いに、ひよりが口元を抑えてけらけらと笑う。
そうして場の空気が息を吹き戻した時――
時刻はもうすぐ、8時を迎える。
リビングのドアが遠慮なく開いて、大勢の撮影スタッフと大仰な機材が流れ込んできた。
――数十分後。
みんなで用意した朝食が、ダイニングテーブルに並ぶ。
端の一席は空席なのに、そこにもプレートが置かれている。
「では、撮影始めます。5秒前――……」
カウントダウンのあとで、カメラのタリーランプが点灯する。
8人の最後の朝が、今、幕を開けた。