台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
――冒頭は、最終日の朝の集合シーンから始まる。
階段前にぎゅっと寄せ集まった、個性が出るキャリーケースやリュックたち。
共同生活の終わりを示唆した次のカットでは、いつも通り朝食が並ぶ食卓に7人が一斉に席に着く姿が映る。
初めて見る、私がいなくなった後の世界。
正面を向けないまま、薄目にその場面を見る。
>>まって、朝ごはん8人分置いてない??
>>ギャーるなの分じゃん
画面はぼやけてたのに、流れるコメントは容赦なく目に飛び込んだ。
「…ぅ……」
胸から喉に感情が急速沸騰するみたいに、苦しさが競り上がってきて、漏れ出そうになったものを慌てて口を閉じて堪える。
コメントが動画画面に流れるようになっていた設定を急いでオフにして、唇をしっかりと噛んだ。
『――いよいよ最終日、だね』
画面の中に漂うアンニュイな空気を、美玲の静かな切り出しが包む。
『結構あっという間だったね』
『寂しいですぅ』
紫苑が空気を軽くするように相槌を打つと、ひよりが弱った小動物のような泣き言を言った。
『……全員で迎えたかったけどね』
物憂げに微笑みながら、大和が空席に視線を流す。
意味深に空席を見る爽真のソロカットが映って、それからみんなも誰もいない席を見て静かになった。
(な、……なに?今の無駄な抜き!)