銀白虎





たしかに、仔犬のような瞳は似ていると思う。





「そうだよー。神崎 要でーす♪」


のんきにあたしに自己紹介をする弟くんの横で。


神崎くんは顔を真っ赤にして「いますぐ消せーっ!!」と叫んでいた。



「えー?せっかくなんだし、いい記念だよ?」


「記念なんかじゃねぇよ!いいから消せっ!いますぐ消せ!!」


「どーしよーかなー」



必死な神崎くんに、涼しい顔の弟くん…改め要くん。


なぜだろう。


この兄弟…上下関係が、逆転している気がする。




「ていうかにーさん。いつまで、その格好でいるつもり?」


にこって笑って、神崎くんの頭を指さす。


「あ゙ーーーー!」って唸り声に、ああ、やっぱり神崎くんはどこに行っても、神崎くんだと思う。



慌ててカツラを剥ぎ取り、自分の髪の毛をわしゃわしゃした。






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