銀白虎
黒塗りの高そうなベンツ。
うわー、初めてみた。
そこに慣れたように入っていく蓮見くんは、やっぱりヤのつく人に見えた。
「…おい、何ぼーっと突っ立ってんだよ」
「え?」
「お前も乗れ。」
な、なぜ!!
あたしは腕で罰を作って、首をもげるくらい横に振って、全力で遠慮する。
こんな車に乗れるか!
「…チッ。おい、押し込め」
そう、これまた、いかにもな厳ついにーちゃんに命令をして…。
お、押し込めって!?
「…手荒な真似すいません。でも、若の指示なので」
ガッ、といとも簡単に持ち上げられ。
「いっやぁぁぁぁあ!」
本当に押し込められた……いや、投げ込まれた。