銀白虎




「…これはこれは……ずいぶんと可愛らしい娘さんが、出てきたもんだ」



「…ごめんなさい……あ、あの…」



なにか、いいたいが。


だけどなにを言えばいいのかわからない。



「どうしたの?何かあった?」


「…え?」



その人が右目の下らへんをポンポンとやるので、自分のそこに手をやると……。


濡れていた。

いつの間に……




「お嬢さんのその制服は………峠ヶ丘高校の制服だね?」


「えっ?…あ、そうです…」


…なんで知っているのだろう?

ここからは、少し離れているのに…。




「そうかい……お嬢さん、もし良かったら、お名前を教えてくれないか?」


へ……


そんなこと、言われると思わなくて、戸惑った。




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