銀白虎
『ワンワン!』
わんちゃんが尻尾を振りながら、あたしを見てくる。
もしかして…ピンポンを押してってことかな?
わんちゃんはこの家の子なんだもんね。お家に帰りたいよね…。
あたしはしゃがんで、わんちゃんをよしよしする。
でもなぁ…。
しゃがんだまま、大きな門を見上げる。
一体どんな人が住んでるんだろう?
ちょっと怖いな…。
知らない家のピンポンを押すのは緊張するもの。
それが更にこんな立派な家となると、物おじしてしまう。
視線を門から右の塀に移した。
あれ?
今まで気付かなかったが、木の板が大きく掛かっていた。
【白虎】
そう達筆な筆の字で書いてあった。
びゃっこ…?
と、後一文字下にあるのだが所々掠れたり、薄くなったりで読みづらい。