銀白虎
さっきのラフな格好とは違い、着物を着ていた。
ぱっと消えたと思ったら、着替えに行っていたのか。
「若、待ってました」
クラさんのその声に、
気付けば長い横長の机には、“若”以外みんなと思われる人数が集まっていた。
「ああ」
蓮見くんは軽く返事をして、静かに足音も立てず、
……あたしの斜め右隣、いわゆる、誕生日席に座った。
いただきます、みんなでそう口にしてから、あたしは凄まじい光景をみた。
あたしはひとりっこだ。兄弟なんていたことがない。だから余計に、かもしれないし。それかこんなに男所帯の中で食事をしたことがないからかもしれない。
みるみるうちに、カレーがなくなっていく…。
まさにその光景は、別世界。