銀白虎





じぶんは、無力だ。
なんて、無力なんだろう…。



貰ってばかりで、
"彼"に何も返すことができない。


こんな自分が、悔しくて。




この落ちていく髪とともに、全部捨てていけたらいいのに。


こんな自分、捨ててしまえたらいいのに………


ーーーーーー生暖かいものが、頬を伝った気がした。





「ーーーーーー何、してるんですか?」



凛とした、声が響いた。

それは、瞳から雫が落ちていくのと、ほぼ同時で。



まるでそう、張り詰めた空気を切り裂くような音だった。


驚いて、すぐには声が出なかった。


< 533 / 589 >

この作品をシェア

pagetop