銀白虎





『そんなにあいつってカッコイイかよ?つーか、あんな奴ぜってぇー裏があるんだぜ』




誰に言うというわけでもなく、
独り言で吐き捨てるように、

…神崎くんが言った。




神崎くん、
それって負け犬の遠吠え
にしか聞こえないって。



あたしは心の中で、教えてあげる。




『なあ、結城はどう思う?』


「へっ!?」

急に振られて驚いた。



「あー…えと……」


神崎くんがじっと真剣に見つめてくる。



こうみると神崎くんも…確かにモテるのがわかる。




「…確かにカッコイイけど……あたしは好きではないかな…」



そういうと神崎くんは満足そうに笑って、

『だよなっ!!』

と歯を出してはにかんだ。



その笑顔は仔犬のように可愛い。


神崎くんはカッコイイというより…どちらかといえば可愛いに入ると思う。


つぶらな瞳をしている。



でも本人に言ったら機嫌を悪くしそうだから、言わないことにした。






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