銀白虎




どうしたのかと思って近付いたら…。



「…飛鳥、どうしよ。


……あたし当たっちゃった!」




きゃー♪♪と叫びながらあたしに抱き着いて来た。




「やばい…!ホント嬉しいよぉ…」



やばい!やばい!を連呼し、しまいには嬉しさで、泣き出してしまった…。




亜美は本当に本当に、嬉しそうで…。



――あたしは胸が苦しくなった。


知らなかった…。

亜美がここまで本気とは、思っていなくて。


あたしは複雑な気持ちでいっぱいになった。


蓮見くんのことでいろいろと、亜美に隠し事をしていること。


…事故だとしても、キスしてしまったこと。


罪悪感で心が埋め尽くされていく――…。






「…良かったね!」


声、震えてなかった?

ちゃんと言えていた?



「ありがとうっ♪♪」






…蓮見くんとはもう、必要以上に関わらない。


あたしは、そう誓った。





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