ずっと、言わなかっただけ
〜神谷慧side〜


俺は、ひよりが部屋に行ってから、とある人に電話をかける。

「もしもし?久しぶりだね、慧。」

相手は、俺の大学時代の親友。高橋 颯太だった。

「慧から電話してくるなんて、珍しいね。」

颯太の声は相変わらずまったりしていて、心地良い。

「ひよりと、一緒に住むことになった。」

「え!?それって、、、ついに、、、?」

予想通りの返しが来る。

「違う。」

そして、俺は今回の事の経緯を説明した。

「なんだ、そっか。いやごめん俺、てっきり、、。」

「いや、誰が聞いてもそういう反応になるよ。」

「それにしても、慧、なんだか声が嬉しそうだね。」

颯太にそう言われて、思わず俺は

「ばっ!そんなこと、、、ないよ。」

と言い返す。

「ふふっ、なんだか久しぶりに慧のそんな声聞いたな。」

颯太はなんだか楽しそうだ。

「それで、わざわざ俺に電話してきたってことは?」

俺は、天井を見つめる。

「俺、今回で決着付けようかと、、、思う。」

「、、、。うん。長い、戦いだったもんね。」

颯太は、それだけ言って

「応援するよ。結果がどうであろうと。」

そっと、噛み締めるようにそう言った。

「ねえ、今度の長期休暇で、俺も久しぶりに慧の家に遊びに行ってもいい?」

俺は、微笑みながら返す。

「もちろん。俺のいちばんの"たからもの"見せてやるよ。」

「ふふ、そうだね。」

そう言って、俺は颯太と会う約束をして電話を切った。

天井を見つめながら考える。

あいつと離れてから、7年。

いや、幼なじみだった頃から考えるともう何十年、、、か?

(長い、戦いだったもんね。)

さっきの颯太の言葉を、思い出す。

本当に、長い戦いだった。

離れてからは、忘れようとも思った。

だけど、いつも頭の中にはあいつがいて。

同じ会社だと知った時には、心臓が苦しくなった。

好きで、好きで、どうしようもない、俺のたからもの。

それなのに、急に目の前に現れて、しかも一緒に住むことになるなんて。

「タイムリミット、、、だよな。」

俺はボソッとひとりごとを呟いて、目を閉じた。

これから先が、どうなるかなんて分からない。

だけど、最愛の人。

一ノ瀬ひよりが、幸せになってくれたらいいと願っていた。

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