一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
予想外の、あまりにも淡々とした反応に、私は息を呑んで顔を上げた。

社長は呆れたように肩をすくめ、万年筆をデスクに置いた。

「仕方ないな」

「え……?」

耳を疑った。今、この人は「仕方ない」と言ったのか。

億単位の損失を出し、会社の顔に泥を塗った部下に対して。

「あのプロジェクトに関しては、以前から先方から『どうしてもやってくれ』と熱烈なオファーが来ていたんだ。だから、正直に言えばこちらとしても乗り気ではなく、渋々受けていた案件でね」

「で、では……今回のミスで、その……」

「ああ。やらなくていい」

あまりの言葉に、私は呆然と立ち尽くすしかなかった。

寛大な、あまりにも寛大な処置。

胸が熱くなり、感謝の念でまた頭を垂れそうになる。

しかし、彼は冷徹な社長の顔に戻り、鋭い視線を私に向けた。
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