一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「あ……ごめんなさい。あまりに綺麗だったので」

しまった、と心の中で舌を出した。

でも、社長は怒るどころか、少しだけ寂しげに、けれど甘く目を細めた。

「……君を隣に座らせて、仕事の話以外をするのは、初めてだな」

グラスを触れ合わせる乾杯の音が、静かな店内に響く。

この夜が、いつまでも終わらなければいい。

そう思っている自分に気づき、私は恥ずかしさを隠すように、またワインを口に含んだ。

「もっと、君のことを知りたいな」

社長がボソリと呟いた言葉は、店内のジャズの音に溶けて消えた。

でも、私の耳にはしっかりと刻まれている。

冷徹な社長、その仮面が剥がれ落ちたその先にあったのは、驚くほど真っ直ぐな情熱。

私は、この人に溺れていく予感を抱きながら、ただ、彼と視線を交わし続けた。
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