一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「家は、どのあたりだ」

「あの……この先のマンションです」

「家まで送るから」

低く、有無を言わせない響き。

私は心臓が口から飛び出しそうなのを必死に抑え込んだ。

車内には言葉はなく、ただ流れる街灯の明かりだけが、私たちを交互に照らしては消えていく。

やがてタクシーは大通りに停まった。

料金を払い、車を降りる。

夜の空気はひんやりとしていたが、私の胸の中は熱いままだった。

「社長? ここからは歩けますので……」

「君の家、まだ距離があるだろう」

彼は私の言葉を遮り、当然のように歩き出した。

大通りから一本入った路地は、街灯の光が乏しく、二人の影が地面に長く伸びている。

社長は私の横を歩きながら、ふとした拍子に少しだけ距離を縮めてくる。

そのたびに、私は自分の呼吸が荒くなるのを必死に隠さなければならなかった。
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