一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「まさか、ここまで送ってくださるなんて……」

「思ってもみなかったか?」

「……はい、正直に申し上げますと」

私は隣を歩く彼の横顔を盗み見た。

あの冷徹で、仕事の鬼と恐れられる社長。

そんな彼が、迷い込んだ私をここまで気にかけてくれるなんて。

誰にも見せないこの優しい一面を知ってしまったのは、私だけなのだという事実に、胸の奥がキュッと締め付けられる。

「思っていたよりも、君は俺を冷たい人間だと思っているらしいな」

「いえ、そんなことはありません……ただ、これほどまでに親切にしてくださるとは思わなくて」

「親切か。……そうかもしれないな」

社長はそれ以上何も言わず、ただ静かに私の歩調に合わせてくれた。

路地を抜けると、私の住むマンションの明かりが見えてきた。

古ぼけた外観も、今夜はなぜか特別な場所に思えてくる。
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