一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
その背中が、街灯の光に溶けていく。

私はエントランスの鍵を開けることもできず、彼が角を曲がって見えなくなるまで、ずっとその場に立ち尽くしていた。

冷たい夜気の中で、額に残るキスの余韻が、まるで焼き印のように熱い。

私はマンションの自室に入り、明かりもつけずにベッドに倒れ込んだ。

窓の外を見上げれば、満月が私を照らしている。

明日の朝、オフィスに行けばまた「冷徹な社長」と「部下の高梨美優」に戻るのだろう。

けれど、今夜この路地裏で交わした視線と、あの温かなキス。

それだけは、私の心の中で永遠に消えない炎となって灯り続けるのだと、確信していた。

社長……黒瀬慧。

あなたが教え込んでくれたこの溺愛を、私は一生、忘れることはできない。

暗闇の中で、私は胸に手を当てて、早鐘を打つ鼓動を感じていた。
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