一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
この会社に、居場所なんてなくなる。

重い足取りで会社へ向かう。

タクシーの窓の外を流れる景色が、今日の私の心の空模様と同じように、どす黒く、どんよりと曇っていた。

ごめんなさい、黒瀬社長。

私はなんて、駄目な部下なんだろう。

自分を責める言葉を何度も頭の中で繰り返しながら、私は死刑台に向かう罪人のような気持ちで、会社への道を急いだ。

社長室の重厚なドアを開けるのが、これほどまでに怖いと思ったことはない。

心臓の鼓動が耳の奥でうるさいほど鳴り響いている。

一歩足を踏み入れると、そこにはいつもと変わらない冷徹な空気を纏った黒瀬慧が、デスクで書類に目を通していた。

「戻りました」

私の声は、ひどくかすれていた。

社長はゆっくりと顔を上げ、その鋭い双眸で私を射抜いた。

「報告を。今回の億単位の契約、その結果は」
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