一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
『君には失望した』

そう言われたら、私はきっと、そのまま消えてしまいたくなる。

震える指で画面をスワイプし、耳に当てる。

「……はい、高梨です」

「高梨。会合はどうだった。契約の感触は」

低く、響くような黒瀬社長の声が耳元で重なる。

ああ、終わった。

私の、何もかも。

「……申し訳、ございません。契約は……取れませんでした」

「……何」

社長の声から、温度が消えた気がした。

「私が……ミスをしました。相手方の名前と、プロジェクトの名前を、間違えて……」

沈黙が流れる。

その沈黙が、何よりも恐ろしかった。

「……そうか。分かった。すぐに戻れ」

それだけを言って、通話は切れた。

プツン、と切れた音に、私はまた涙を流した。

私は、もう終わりだ。

社長に見捨てられる。
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