幸せの味~君に食べてほしいから~
翌朝。
「四月朔日さん」
着けていたヘッドホンを外して、僕に目を向けた。
切れ長な一重のその瞳は、少し怖く感じる。
「ちょっと、昼とか。話せるかな」
「いいけど、何」
つっけんどんな話し方。
ほんの少し、躊躇する。
「大事な、話」
「…そう」
そう返して、彼女はすぐヘッドホンを着けた。
上手くいく気がしない。
付き合う、という前提から壊れそうだ。
そして昼。
いつも通り四月朔日さんは、菓子パンと惣菜パンを3つ出してヘッドホンをする。
「今、いい?食べてからが、いい?」
「…今でもいいけど」
「ちょっと、こっち来て」
校舎裏の、静かな所にやって来た。
「で、何?」
「あの、さ。僕と、付き合ってほしい」
怪訝な顔をされた。
「今まで何の接点も無いのに何で」
「密かに、想ってた」
「ふぅん…」
納得したんだかしてないんだか分からない顔だった。
「どうですか…」
「いきなり言われても分からない」
「だよねぇ…」
諦めかけていたけど、反対の考えが思いついた。
「…じゃあ、僕のお弁当食べて、美味しかったら付き合って?」
「へ?」
「僕調理部なんだ。料理には自信あるよ」
「…分かった」