紫陽花の短編集物語#2

最高な上司

最高な上司 第1話 ミスを隠蔽しない、最高のフォロー

SCENE 1:オフィス・午後
<場所:オフィス。佐和は自分のデスクで、青ざめた顔をしてスマホを握りしめている。目の前のPCには、「エラー:データ削除」の文字。>
佐和 (小声で、泣きそうになりながら) 「嘘でしょ...。クライアントの発注データ、全部消しちゃった...。どうしよう...。」
(佐和、震える手で美咲のデスクに歩み寄る。)
佐和 「美咲さん...あの...っ(涙声になり、言葉が出ない)」
美咲 (PCから顔を上げ、佐和の顔色を見て一瞬で状況を察する。立ち上がり、佐和の手を掴む。) 「ストップ。場所を変えるよ。」

SCENE 2:給湯室・緊急ヒアリング
<場所:給湯室。誰もいない。美咲は、佐和に紙とペンを渡す。>
美咲 (怒鳴るどころか、極めて冷静なトーンで) 「泣くな、佐和。ミスの大小より、隠蔽(いんぺい)が最大のリスク。まず、事実だけを整理して。」
佐和 「ごめんなさい...っ、私が...私が間違えて...A社の発注データ、全部、バックアップごと消しました...。損害、たぶん数百万...。」
美咲 (紙にペンを走らせる。「日時」「対象」「影響額」と書く) 「わかった。じゃあ、聞くよ。どこまでリカバリー可能? 誰に確認すればいい? このミスで得られた教訓は?」
佐和 「え...リカバリー...。」
美咲 「そう。ミスは終わった。今から考えるのは未来。ミスは『過去』、リカバリーは『未来』。感情は『今』じゃなく、未来のために使え。」

SCENE 3:上司への報告・リカバリープラン
<場所:美咲と佐和が、上司の席の前に立つ。上司は顔を曇らせている。>
美咲 (落ち着いた声で、上司に) 「部長、A社の発注データ消失の件でご報告です。原因は佐和のオペレーションミスですが、全責任は指導者である私にもあります。」
上司 「...なんだと?佐和、本当か!」
美咲 (佐和の肩を軽く叩き、言葉を遮る) 「ですが、リカバリー策は既に立てています。(紙を見せる)リカバリープランは3つ。今から佐和と二人で、徹夜で対応します。そして...。」
美咲 (ここで佐和と目を合わせる。佐和は少し涙目だが、しっかりと前を向く。) 「佐和は今日、このミスで得た『最高のデータ』を次に必ず活かします。大丈夫。私も新人時代、もっとデカいミスしてるんで。 乗り越えられます。」
(美咲の言葉と、完璧なリカバリープランを聞き、上司はため息をつきながらも、許容する。)
上司 「...わかった。まずは、リカバリーを優先しろ。」
<上司の部屋を出た後。>
佐和 (美咲に向かって、深々と頭を下げる) 「美咲さん...ありがとうございます。私、本当に...」
美咲 「頭下げるのはいい。でも、今日からこのミスは『捨てるデータ』じゃなく『未来への資産』だよ。ミスを恐れるな。隠蔽を恐れろ。さ、行くよ。リカバリーを楽しむぞ!」


最高な上司 第2話 休日の突然の連絡への対処法

SCENE 4:佐和の部屋・休日昼間
<場所:佐和の自室。休日。佐和はリラックスしてスマホを見ているが、急に仕事の件が頭をよぎる。>
佐和 (スマホを見て、自問自答) 「あ...先週の企画書のあれ、本当にこれでよかったかな?念のため美咲さんに確認した方が...いや、でも休日だし。緊急じゃないし...どうしよう...。」
(佐和、LINEの画面を開き、美咲のアイコンを何度もタップしたり閉じたりしている。迷いのループ。)
佐和 「でも、もし月曜になって手戻りがあったら...。やっぱり連絡...」
(その時、美咲からLINEが届く。佐和は驚く。)
美咲からのLINE: 『佐和、今、私の「休み専用LINEマニュアル」を開いてみて。』

SCENE 5:休み専用LINEマニュアル
<場所:佐和の部屋。佐和は美咲からもらった「緊急時連絡マニュアル」と題されたメモを開く。その中に、手書きで『休み専用LINEマニュアル』と書かれた付箋が貼ってある。>
佐和 (付箋を読み上げる) 「【美咲さんへの休日の連絡ルール】 1. クライアントの命に関わるか? 2. サーバーがダウンしたか? 3. 私(美咲)が対処しないと、会社に数億円の損害が出るか? → Noなら全部禁止。」
(マニュアルの下には、美咲からの手書きのメッセージが。)
美咲からの手書きメッセージ 『あなたの休日は、あなたのパフォーマンスそのもの。しっかり休むのも、プロの仕事だよ。休んでる間に仕事のことは忘れること!』
佐和 (ふっと力が抜ける。迷いが消え、満面の笑みに) 「あぁ...最高だ...。これで、罪悪感なく休める!」
(佐和、美咲に返信をする。)
佐和からのLINE: 『マニュアル、確認しました!完璧に休ませていただきます!!ありがとうございます!』
美咲からの返信: 『Good. 私は今から温泉だから返信しないよ。楽しんで!』
(佐和はスマホを閉じ、リラックスした笑顔でソファに倒れ込む。)








最高な上司 最終話 報われない努力への評価

SCENE 6:会議室・午後
<場所:会議室。佐和が徹夜で仕上げた企画書を上司(美咲の上司)に提出したが、「ターゲット層が古い」の一言でボツになる。佐和は、会議室を出た後、力が抜けている。>
佐和 (オフィスに戻る途中、美咲のデスクの前で立ち尽くす) 「...徹夜したのに。企画書、ターゲット層が古いって。全部やり直しだ...。」
美咲 (佐和の様子に気づき、静かに自分のデスクに座らせる) 「ボツになったね。お疲れ様。コーヒー淹れるよ。」
佐和 (泣きそうになりながら) 「すみません...。もう、私、努力の方向性が間違ってるんだと思います。この仕事、向いてないのかな...。」
美咲 (コーヒーを渡し、佐和の企画書を広げる) 「違うよ、佐和。努力の方向性は、1ミリも間違ってない。」

SCENE 7:努力の価値
<場所:オフィス。美咲は佐和の企画書を指さしながら、具体的に褒める。>
美咲 「この企画書、構成が過去最高だよ。この市場分析の深さ、新人には真似できない。ボツになったのは、ただ上層部のニーズに1ミリ合わなかっただけ。これは外部要因。君の能力の問題じゃない。」
佐和 「でも...結果が出ないと...」
美咲 「結果が出なかった企画書は『捨てるデータ』じゃない。『未来への資産』だ。この分析と構成は、次の企画の土台にするよ。だから、この企画書は、今日から私のもの。」
佐和 (美咲の言葉に驚く) 「え...美咲さんのものに?」
美咲 「そう。私がもらう。そして、次のプロジェクトで必ず活かす。つまり、あなたの徹夜は無駄じゃない。お疲れ。その努力は、私が知ってるから。」
(美咲は笑顔で、静かに自分のデスクへ戻る。)
佐和 (美咲の背中を見つめ、感謝と力が湧いてくるのを感じる。) 「...美咲さんのために、また頑張ろう。」
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