クールなパティシエが見せる笑顔は私にだけとびきり甘い
私には、最近密かな楽しみがある。
そう、それは最近見つけたケーキ屋さんのケーキ――も、もちろんそうなのだけれど。

それだけじゃない。
その店で働くパティシエさんだ。

ケーキを眺めながら、今日はいるかな、とショーウィンドウ越しに店内を探してみる。

すると――

「いらっしゃいませ。最近よく来てくださってますね」

すっと目の前に現れた人物に、思わず背筋が伸びた。
さらりとした黒髪。涼しげな目元。長い手足。
クールであまり表情を変えない。

「は、はい! お、おいしくて!」

慌てて答えると、彼は小さくうなずいた。

「ありがとうございます。今日はピスタチオケーキがおすすめですよ」

鮮やかな緑色のクリームに、繊細な花びらの飾り付け。

見ているだけでうっとりしてしまう。

「じゃ、じゃあそれにします! あとショートケーキもお願いします」

「かしこまりました」

手際よく箱に詰めながら、彼がふと何かを思い出したように顔を上げる。

「そうだ。これもどうぞ。おまけです」

差し出されたのは、小さな袋。
袋の中には、うさぎの形をしたクッキー。
繊細なアイシングで彩られていて、食べるのがもったいないくらいだった。
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