拳にモノを言わせますけどよろしくて?
可愛い子には継母が必要

1 隣国に嫁いだら婚約破棄されました


 この日、リュティシアは初めて隣国の王宮へ足を踏み入れた。
 その訪問の目的は――結婚。

「ガルディア王国リュティシア王女殿下ならびに随伴の皆さま方、ご来臨――!」

 高らかに告げる声に迎えられ、リュティシアは広間の中央へ進み出る。
 そこに居並ぶのはアルヴェイン王国の王族、そして高位貴族たちだった。向けられた視線に臆することもなく十九歳のリュティシアは悠然と微笑む。
 美しい所作でお辞儀をしたリュティシアへ、国王はねぎらいの言葉をかけた。

「我がアルヴェインへようこそ、リュティシア王女。遠路ご苦労だった」
「陛下にお目通りかないましてこれ以上の喜びはございません。間に山こそありますが祖国ガルディアとアルヴェインとは親しい隣国。私が友好の架け橋になれればと願っています」

 リュティシアは流れるように返答した。
 いつものリュティシアはわりと活発な(たち)なのだが、外交の場での振る舞いぐらい心得ている。やわらかに笑む、姫君らしい仕草に魅せられて広間に称賛の空気がただよった。

(うん、いい雰囲気だわ)

 隣国に対してソトヅラをキープしたいリュティシアの思惑通りだ。

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