拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 若草色のドレスに包まれるしなやかな体。
 結い上げた蜂蜜色の髪は顔の横だけ垂らしてあり、薔薇色の頬をつややかにふちどる。
 キラキラ輝く(はしばみ)色の瞳には希望が満ちていて、列席者の目を引いた。

 実際リュティシアは国を出ることにワクワクしていた。生まれ育ったガルディアは峻険な山に守られる小国だから。
 末姫として可愛がられてきたリュティシアだけど、そろそろ広い世界を見てみたい。

 アルヴェインはさほど大きくも強くもない国――だが、国民は穏やかで堅実だと評されている。なのでガルディア側としても愛する末姫を託すにふさわしいと考えたのだ。
 こうして会ってみれば、舅のアルヴェイン国王や王族たちにも派手なところはない。

 国王の隣には王妃が立っていた。その右手にいるのは王太子夫妻、さらに結婚相手となる第二王子らしき人が並ぶ。
 そして反対側の左には、ニコニコ愛らしい男の子がいた。横には落ち着いた雰囲気の男性の姿もあって、リュティシアの目を引いた。

(可愛い子! ここにいるのなら王族なのよね?)

 リュティシアから自然な笑みがこぼれる。子どもは好きだ。
 ふわふわした黒い髪と、緑がかった目の男の子。隣の男性も黒髪だが瞳は青灰色。この二人は誰だろう。

「セミオン、前へ――」

 王にうながされて一歩進み出たのは婚約者の第二王子だった。
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