拳にモノを言わせますけどよろしくて?
お茶会の間エドゥアルドを包んでいたあたたかいまなざしにはフェリスベルトも気づいている。
席中にリュティシアはそっとハンカチを出し、自分の皿のクッキーを一枚つまんだ。そしてフェリスベルトへ許可を求める視線。小さくうなずき返したらクッキーをエドゥアルドのおかわりにくれたのだ。
(自分の婚約の行方が話されていたというのに……それよりもエディのおやつが気になったのか?)
なんとも豪胆。それとも――。
(どうせ政略結婚するしかない、と人生を諦めている可能性もあるな)
王族ならば命じられるままに結婚するのが当たり前だ。フェリスベルトだって最初の結婚では国内貴族の力関係をかんがみて相手を選んだ。妻となった人に恋などしていなかったが――それなりの愛を育んだと思う。
「お母さま、か……」
エドゥアルドの母親となったことで命を落とした、前の妻。あの人はそれで幸せだったのかと、フェリスベルトはずっと自問している。
だが産みの母を知らないエドゥアルドは、ただただ未来に希望を見出していた。
「お母さまって、いつもいっしょにいてくれるの? おねんねも?」
「それはどうかな」
この話がまとまるとしても、リュティシアはエドゥアルドの養育係になるわけではない。フェリスベルトに嫁ぐ、というのが一義的な役目だ。つまり――夜はフェリスベルトと過ごすのが当然なのであり。
(いや。彼女が望まないなら、そういうことは)
なくても仕方ない。王国の世継ぎなら甥たちがいるし、またエドゥアルドが無事に育つよう努力すればいいのだ。そこは〈育成〉加護持ちとしてのリュティシアに期待していいだろう。
だから周囲からは新たに子を生せと要求されずに済むはずだ。そうであってほしい。
妻になった人にまた死なれてしまうのを――フェリスベルトは怖れているのだった。
席中にリュティシアはそっとハンカチを出し、自分の皿のクッキーを一枚つまんだ。そしてフェリスベルトへ許可を求める視線。小さくうなずき返したらクッキーをエドゥアルドのおかわりにくれたのだ。
(自分の婚約の行方が話されていたというのに……それよりもエディのおやつが気になったのか?)
なんとも豪胆。それとも――。
(どうせ政略結婚するしかない、と人生を諦めている可能性もあるな)
王族ならば命じられるままに結婚するのが当たり前だ。フェリスベルトだって最初の結婚では国内貴族の力関係をかんがみて相手を選んだ。妻となった人に恋などしていなかったが――それなりの愛を育んだと思う。
「お母さま、か……」
エドゥアルドの母親となったことで命を落とした、前の妻。あの人はそれで幸せだったのかと、フェリスベルトはずっと自問している。
だが産みの母を知らないエドゥアルドは、ただただ未来に希望を見出していた。
「お母さまって、いつもいっしょにいてくれるの? おねんねも?」
「それはどうかな」
この話がまとまるとしても、リュティシアはエドゥアルドの養育係になるわけではない。フェリスベルトに嫁ぐ、というのが一義的な役目だ。つまり――夜はフェリスベルトと過ごすのが当然なのであり。
(いや。彼女が望まないなら、そういうことは)
なくても仕方ない。王国の世継ぎなら甥たちがいるし、またエドゥアルドが無事に育つよう努力すればいいのだ。そこは〈育成〉加護持ちとしてのリュティシアに期待していいだろう。
だから周囲からは新たに子を生せと要求されずに済むはずだ。そうであってほしい。
妻になった人にまた死なれてしまうのを――フェリスベルトは怖れているのだった。